小沢一郎の元秘書、3人の「被告」に有罪

小沢一郎の元秘書ら3人に、政治資金規正法違反で有罪判決(26日、東京地裁)。さかんに報道されたとおりで、特にここで付け加えるほどの話はありませんが、少し触れます。

 

裁判上の争点としては単純で、秘書らが、ゼネコンから億単位のお金を受け取っていながら、それを政治資金として帳簿に記載しなかったことが虚偽記入にあたるか、またそれが秘書らの共謀によるものであるか否かが争われました。

3人の秘書が罪を自白したとされる供述調書が、検察側の威迫や誘導によるものだという理由で証拠として採用されず却下されたという、郵便不正事件で厚労省の村木氏に無罪判決が出たときと似たような経緯をたどりましたが、お金の流れや帳簿の記載などの証拠からして、3人を有罪にしたようです。

 

今後、小沢一郎の裁判が控えていますが、ここでは、小沢一郎が秘書らにそういった虚偽記入を行うよう指示したか否かが問題になるでしょう。

こちらのほうは、検察側がいったん不起訴にしたところ、検察審査会の決議に基づいて起訴された(マスコミのいうところの「強制起訴」)という経緯をたどりました。検察が、有罪かどうか微妙だと思って起訴を見送ったわけですから、どういう結論になるかは予測がつきません。

ただ、民主党の大好きな「国民の目線」で考えると、ボス(小沢)が指示もしないのに、秘書だけの判断で億単位のお金を帳簿に記入しないということは考え難いでしょう。

私も職業柄、お金を預かることは多いですが、事務員は私の指示がないことには1円のお金も動かしませんし、帳簿に載らないようなお金を私に代わって受け取るようなことはありえません。私に限らず、ほとんどの自営業者はそうでしょう。

もっとも、グレーなだけでは有罪にできないのが刑事裁判であり、小沢一郎が「黒」である証拠や証言が出てくるのかどうかが注目されるところです。

 

少し話が変わって、これも以前に書いたことですが、新聞などでは今回有罪になった秘書を「石川被告」などと表現していますが、小沢一郎については、起訴され刑事裁判を受ける立場であるのは同じなのに、「小沢氏」「小沢元代表」と書かれています。

検察審査会の議決に基づく強制起訴の場合、マスコミは「被告」呼ばわりしないのか、とも思っていたら(それもおかしな話ですが)、一方で、JR脱線事故の報道では「JR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の元社長、井手正敬、南谷昌二郎、垣内剛の3被告の公判前整理手続きの…(以下略)」と「被告」の肩書を使っているものも見受けられます(上記は9月27日の「MSN産経ニュース」から引用)。

結局、小沢一郎に遠慮してるのだな、としか思えない報道ぶりなのです。このようにマスコミは、同じように「刑事被告人」の立場である人に対し、ある人は「被告」と書き、ある人は「氏」と書くのです。このことは、刑事事件報道を見る際に、少し念頭に置いていただきたいと思っています。

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