非嫡出子相続分差別に違憲判決 1

私ごとながら、ここ1週間ほど、所用でハワイにおりました。

ハワイでも日本のニュースが見れるチャンネルがあり、この間、驚いたニュースといえば、東京五輪の開催決定と、もう一つは、最高裁が非嫡出子の相続分について新たな判断をしたことです。

この最高裁の判断、すでに報道によりご存じのことと思われ、今さらブログ記事にするのも時期を逸したように思いますが、少し触れてみます。

 

民法では、非嫡出子(父母が婚姻関係にない子)の相続分は、嫡出子の半分とすると規定されていたのですが、今回の最高裁の判断では、これが憲法の禁じる「差別」にあたるということで、無効となりました。

 

これをどう感じるかは、皆さんもご自身に置き換えて考えてみてください。

たとえば私には、妻と長男がおり、仮に私が3000万円の遺産を残して死ぬと、妻の相続分が2分の1、子供の相続分も2分の1だから、妻と長男が1500万円ずつ相続します。

もし、長男のほかに、妻との間に産まれた次男がいれば、子供は2分の1の相続分を人数に応じて頭割りするので、妻1500万、長男750万、次男750万円の相続となる。嫡出子同士の相続分は平等です。

 

もし私が、長男のほかに、ミナミのクラブのホステスを愛人にして、その愛人に隠し子を産ませたとします。私と愛人は結婚していないから、隠し子は非嫡出子です。嫡出子である長男に比べて、半分しか相続分がない。結果、妻1500万円、長男1000万円、隠し子500万円の相続分になります。

愛人とその子からすれば、どうして非嫡出子だというだけで差別されるんだ、と感じるでしょう。

一方、妻からすれば、私が死んだあとに、見知らぬホステスが子供を連れて相続分よこせと言ってきたら、1円でもやりたくない、と思うかも知れません(本人に確かめたわけではありません)。

 

愛人と子供を作るんなら、誰からも文句が出ないようにするのが男の甲斐性じゃねえか、と思う人もいるでしょうし、私もそう思います。しかし問題はそういう通俗的なことではなく、現に嫡出子と非嫡出子の間で相続問題が頻発しており、法律自体が両者の相続分の違いを正面から認めてしまっているのをどう考えるか、ということです。

憲法14条は法の下の平等を規定していますが、これまで最高裁は、「合理的な制度である」として合憲と判断してきました。この度の判決は、最高裁が自らの判例を変更した点でも画期的なものです。

次回、もう少し続く予定です。

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