やっぱり市立幼稚園の民営化に反対する 1

最近、この話題が多くてすみません。特に興味のない方は読み飛ばしてください。

 

大阪市では今、市政はゴタゴタとしておりまして、府の水道事業との統合は否決、大阪市営地下鉄の民営化は継続審議、橋下市長の目論んでいた大阪都構想など最近話題にすらならない、という状況です。

それでも、市長は今もなお、大阪市立幼稚園・保育所の民営化は、意地にでもなっているのか進めようとしていて、公募で市長に選ばれた各区長が、幼稚園などを回って民営化に向けた説明会を開いています。

 

我が大阪市西区の高野区長は、仕事熱心で、橋下市長の号令のもと、任務を忠実に遂行しようとしているのは分かるのですが、説明会で言っていることはムチャクチャです(これは高野区長が不誠実なのではなく、橋下市長が何も考えてないためです)。それをいちいち挙げるとキリがないので、少しだけ紹介します。

 

区長が幼稚園に来て言うには、市立幼稚園を廃止するのは、財政難が主たる理由でなく、民間を活用することで幼児教育の底上げ、つまり全体のレベルアップをする、ということにあるのだそうです。

では、それは具体的にどのように行われるのですか、との問いに対しては、「幼児教育のカリキュラムを作成していく」とか「教育委員会に幼児教育のスペシャリストを招き、教育委員会が幼児教育に積極的に関わっていく」とか、官僚が頭の中だけで考えたみたいな答弁に留まります。

その程度の、「これから考えていきます」みたいなやり方で、幼稚園に限らずあらゆる公的制度を潰そうとしているのが、今の市長とその子飼いの区長たちです。

 

ところで先月、公募で大阪市立小学校の校長に選ばれた人が、3か月で辞めてしまったという一件がありました。公教育に民間の力を投入すればうまくいく、という市長の考えが、この一事をもってしても、誤りだったことが露呈したわけです。

しかも橋下市長はこのことについて釈明を求められて「自分に人事権はないから責任はない。教育委員会の責任だ」と言いました。このように、大阪の公教育は、何があっても責任を取らないトップにかき回されているのです。

 

区長は幼稚園でこうも言いました。「公立幼稚園を残したいというのであれば、公立を残すだけの積極的な理由は何か、公立でないとできないことは何か、それを聞かせてほしい」と。

 

私は、古いもの、長く続いているものというのは、長く残るだけの良さがあって続いているのであって、そのこと自体が貴いものだと考えています。

私がよく行く老舗のバー「サンボア」は創業以来95年、京都・大阪を中心にのれん分けしつつ続いています。もっと大きな話になると日本の天皇は2000年以上続いています。

大阪の市立幼稚園は、いまきちんとした資料が手元にないですが、園の数を徐々に増やしながら、130年以上続いているはずです。

 

しかし、市長や区長はそういったものに価値を見出さないようで、公的制度や施設は潰せば潰すほど良いと思っているのでしょう。さらに言えば橋下市長はその時々で最も大衆受けしそうなことを言う(その意味では姿勢は一貫している)ので、行政の継続性や安定性、それに市民が寄せる安心や信頼感というものに重きを置かないのです。

これまで長年続いてきたものを潰すと言ってる側が、潰すだけの積極的な理由を何も説明せずに、潰さず残しておいてほしいという人に対して「潰さない理由を説明しろ」と言っているわけですから、相当に乱暴と言いますか、本末転倒な議論のやり方です。

 

ゴタゴタと書きましたが、次回もう少し続くかも知れません。

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