ある消費者金融との会話より 3(完)

このテーマで3回目です。
前々回は、それなりに名の通った消費者金融でも、時効にかかった借金を「時効でない」と言いくるめて取り立てようとしてくることがあることを書き、前回は、時効にかかった債権を安く買いたたいてダメ元で取り立てにかかってくる債権回収業者の話を書きました。

今回は、もっとタチの悪い、闇金融(以下「ヤミ金」)のことを書きます。
昨年の暮れ、事務所の仕事納めの日、年内の業務を終えようとしていた私のもとに「今すぐ相談に行きたい」という女性からの電話がありました。何軒かの法律事務所に電話したものの、すでに年内の業務を終了していて、それでウチに電話をくださったそうです。

相談内容はこういった話です。
お金を借りようとして電話で申し込んだら、その業者から「携帯電話を作って、送ってほしい」と言われたと。「送れば20万円を振り込む」という話です。
その相談者の女性は、さすがにおかしな話だと思って、借りるのをキャンセルしたいと電話したら、「違約金が必要になるので20万円払ってください」と言われたそうです。
また、最初の申込みのときに、自宅や職場の連絡先も伝えてあるので、違約金を支払わなければ職場に連絡する、と言われたとのことです。

明らかに、ヤミ金のやり方です。
この女性が、言うままに携帯電話を契約して送っていたら、きっと、第三者に「使い放題の携帯」、いわゆるトバシの携帯として売却され、一定期間、誰かに利用されたでしょう。当然、携帯の端末料金と、解約されるまでの利用料は、その相談者に請求がいきます。
その他、借りた20万円の元金と高い利息も返せと言われたでしょう。
実際、携帯を作って借入れをし、その後えらいことになった人からの相談も、時にあります。この女性は幸い、行きつくところに行く前に、私のところに相談に来てくれました。

彼らヤミ金は、消費者金融のように店舗を構えず、携帯電話1本で仕事をしています。ですので、もっとも手っ取り早い対処法は、弁護士からその携帯に電話連絡を入れてもらうことです(もちろん、私も、たいていの弁護士も、タダではやりません。所定の費用は必要です)。
私はこのケースで、そのヤミ金に対し「ウチの依頼者が、やっぱり借入れはやめるとのことです。違約金なんて支払う法的義務はないから、払わないように指導しました。だから今後は電話してこないでください」と電話で淡々と伝えました。
ヤミ金はいちおう「わかりました」と言うので通話を終了しました。その後、その女性から相談の連絡はないので、ヤミ金からの違約金の請求も止まったのでしょう。

ヤミ金は貸金業者としての登録をせず、高利で貸し付けを行っているため、貸金業法や出資法に違反しています。あまりにひどい取立てをする場合は、警察がその気になれば割と簡単に摘発でき、彼らもそのことがわかっています。
ですから、ヤミ金に対しては、弁護士をたてるなりしてきちんと対応すれば、それ以上ひどいことにはなりません。

正しい知識を持っていないと付け込まれる、という話を3回に渡ってお伝えしました。
法律家でない方は、別に法律に詳しくなる必要はないのですが、健全な常識を働かせて、おかしいなと思った話は立ち止まること、そしてできれば早めに専門家の助言を求めることが、生きていく上で必要な態度であろうと思っています。

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