PTAへの加入は「義務」か 1

熊本市で小学生の父親が、小学校のPTAを訴え、加入する義務もないPTAに加入させられ、会費を払わされたということで、PTA会費(合計20万円ほど)を返せと求めたそうです。

私自身が息子の幼稚園のPTAに関わっていることもあって興味を引きましたし、大きく言えば、学校・幼稚園のPTAに限らず、あらゆる団体における憲法上の「結社の自由」にも関わる問題ですので、少し触れてみます。

 

ここでも触れたかも知れませんが、私は昨年度と今年度、息子の通う市立幼稚園でPTA会長をやっています。

1年目の昨年度は、何もわからないまま過ぎて行ったという感じでした。

会合にいくと、周りの会話で「たんぴー」「くーぴー」とかいう何だか間延びした単語が飛び交っていて、「単P」(各幼稚園単位のPTA)、「区P」(区全体の幼稚園PTAの協議会)のことだと分かるまで、しばらくかかりました。

「しーおーぴー」という単語も聞こえて、何となくアメリカでいうCOPを想像し、たぶんPTAの中の精鋭部隊だろうと思っていたら、「市幼P」(大阪市全体の幼稚園PTAの協議会。「おー」じゃなく「よー」だった)のことでした。

 

それは雑談で、そもそもPTAとは何かというと、「ペアレンツとティーチャーのアソシエーション」の略語ですから、保護者と先生の集まり、ということになります。

(もっとも、区Pの保護者の中には、「パーッと楽しく遊ぶ」の略、と理解している宴会好きの人たちもいます)

 

法的にどういう位置づけをされているかというと、弁護士でありPTA会長をしておりながら、私もきちんと考えたことはありませんでした。

(いちおう、法学部生向けに教科書的に言えば、任意団体であって法人格なき社団にあたる、という程度の理解でして、これはこれで間違っていないと思います)

 

PTAの存在に何らかの法的根拠があるのかというと、ウィキペディア情報では、PTAは社会教育法の第三章(10条~14条)に定める「社会教育関係団体」であるとされています。

社会教育関係団体とは「公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とする」団体のことを言い(10条)、PTAはこれにあたるというわけです。恥ずかしながら、これも初めて見た条文ですが、たぶんこのウィキペディア情報で間違いないと思います。

この法律には、社会教育関係団体の定義があるだけで、PTAの定義があるわけではありません。PTAを各学校・幼稚園に作らないといけないとか、保護者がそれに加入しないといけないとかいう規定もありません。

冒頭に紹介した父親が「加入する義務もないのに」と言っている部分は、法的にはもちろん正しいことになります。

続く。

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