「選挙無効」のその後 1

「一票の格差」問題について、続き。昨日(3月26日)は、広島高裁岡山支部が、違憲無効の判決を出し、しかも、25日の広島高裁本庁のような「何月何日までに改正しなければ」という猶予期間すら与えませんでした。

前回書いたとおりで「将来効判決」など認められるかどうか疑問の余地があるので、こっちのほうが筋は通っているとは思います。もっとも、最高裁に上がってまだ裁判は続くでしょう。

 

この問題、今後どうなるのか、もし国会が定数是正をせず放置したら、本当にその議員は地位を失うのか。この点は新聞などで一通りのシミュレーションが書かれていると思うので、事細かには書きませんが、考えられる2、3のことを書いてみます。

 

まず考えられるのは、国会が対処することです。さすがに、何もしないということはないでしょう。

しかし、選挙区や定数をいじることには、いろんな利害やら思惑が混じってくるでしょうし、それを抜きにしても、各選挙区の人口にきちんと比例した形で議員定数を割り当てるのは、相当に困難な作業なはずです。

 

どの地域でも、人口というものは、出生、死亡、引越しなどで常に流動しており、各選挙区の最新の人口データを把握しておくという作業自体が非常に面倒でしょう。

それに、人口比例を徹底するとなると、大阪1区みたいに有権者が20万人くらいいても議員が1人である、と考えたとき、過疎地の選挙区は議員がゼロになるでしょう。東北の被災地などはどんどん人口が流出していて、被災地からは議員を1人も出せないことにもなりかねない。

どんな過疎地でも最低1人は議員を国に出せるようにする、と考えると、大阪や東京の多くの選挙区では、人口比でもっとたくさんの議員定数を割り当てる必要が生じます。つまり議員の総数を増やす必要がある。

民主党政権のころから「0増5減」なんて案が出されていますが、議員を減らした上で人口比例の選挙区割りを考えるのはほとんど不可能なのです。

 

本題とは外れますが、そういうこともあって、議員の数をもっと減らせという意見には私は反対です。

ちなみに議員定数削減に反対するもう一つの理由は、もし3年前の衆議院選挙が、議員定数が現行の480でなく、たとえば300くらいで行われていたとしたら、その300人が全員、民主党の議員だったという、悪い冗談みたいな話が現実化しかねないということです。

と、話がそれたままになってしまいましたが、選挙無効判決のその後について、次回もう少し書きます。

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