祇園の死亡事故と懇親会の報道について感じたこと

新聞報道などで、たまに「それが何?」という記事に接することがありますが、最近そう思ったのは、京都・祇園での自動車暴走事故の日、京都府警の人が懇親会でお酒を飲んでいたというニュースです。

 

事故そのものは、7人が死亡した痛ましい事故です。事故現場の道は、私も妻子連れで何度か通ったこともあり、個人的にもおそろしい事件だと思いました。遺族の方の悲しみは察するに余りありますし、そんな日に京都府警の人がお酒を飲んでいたと聞けば、不信感を抱くのも当然と思います。

しかし、新聞各紙は何を思って、これをわざわざ記事に(しかも一部新聞では一面トップ記事に)したかと言うことです。世間一般に非難されるべきだ、警察は責任を取るべきだ、とでも考えたのでしょうか。

 

ここで一応、報道からわかる範囲のことを述べてみます。

事故は4月12日の午後1時ころに起きました。その日の午後6時ころから、京都府警の署長ら幹部が集まる懇親会がありました。これに誰が出席して飲酒していたかというと、以下のとおりです。

京都府警全体のトップである京都府警本部長は、懇親会に出席しています。

事故現場の所轄は東山警察署で、そこの署長は、出席を辞退したそうです。

東山警察署の交通部長は、出席しました。

東山警察署のヒラの刑事さんたちは、そもそも懇親会に呼ばれていないので、当然、出席していません。事故現場の見分や、事情聴取などに当たっていたでしょう。

府警のトップと、交通事故担当の部長が酒を飲んでいた、と批判されているわけですが、所轄の署長は署にいて、必要なら捜査の指揮ができたのでしょうし、現場の刑事も普通に捜査していたわけです。

 

交通部長の仕事は私もよく存じませんが、おそらく、事故直後には初動の捜査を指示し、そのあとは現場の刑事に任せて、後日、事件を検察庁に送検する際に、上司として決済するのでしょう。この日の懇親会に出席することで交通部長としての仕事に支障が生じたとは思えないのです。

 

また、京都府警本部長が出席したことを批判する人は、各都道府県警トップは、その都道府県内に死亡事故が起こるたびに、その他の予定をキャンセルせよという考えなのでしょうか。

さらに、警察全体のトップである警察庁長官も、同様にすべきであったと考えるか。また警察を含めた行政全体のトップである内閣総理大臣はどうか。

警察庁長官や内閣総理大臣まで、当日は飲酒すべきでなかった、というのであれば極端にすぎる気がします。かと言って、京都府警本部長はダメだけど、警察庁長官や内閣総理大臣は良い、というのであれば、その違いは何なのか、どこで線引きをするのか、という問題が出てくる。

 

私としてももちろん、懇親会への出席はやめておいたほうが、なお望ましかったとは思っています。しかし、交通部長や府警本部長というだけで、具体的な職分などが明らかにされないまま、何となく批判されている気がして、そこが私として疑問に感じるところです。

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