営業自粛要請についての若干の感想 1

前回、休業要請と店名公表との関係で、コロナ特措法45条2項から4項の内容をわりと詳細に紹介しました。これに関して、以下、いくつかの雑感を述べます。

● パチンコ店が想定されている?

4項によれば、閉店などの措置の要請や指示を名指しで受けると、その事実(名称を含めて)が公表されることになります。

現在、吉村知事ら行政のトップが、どこまでのことを考えているかはわかりませんが、新聞やネットでの記事を見ると、パチンコ店なんかを想定しているようです。

ごく個人的には、私はパチンコはしないし、現在もなおパチンコ店の開店前に行列を作る人たちの気持ちがわからないので、まあいいかと思ってます。

ただ、自分に関係のない規制だと思って行政が強い権限を行使するのを放置すると、いずれそれは自分の身の回りに及んできかねない、との懸念から、前回、コロナ特措法で行政はどこまでのことができるのか、条文を細かく参照してみた次第です。

● 「バー」は規制対象か?

もう一つついでに、個人の関心で書きますが、私の好きなバーなんかは規制の対象になりうるのか。

前回紹介した政令の11条1項11号には「キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホールその他これらに類する遊興施設」と規定があります。

お酒をメインに出すバーはここに含まるか。おそらく、行政当局としては、「その他これらに類する遊興施設」に含まれていると考えているようです。だから大阪はじめ各都市でも、バーはナイトクラブと一緒くたにして、閉店の要請(特措法24条9項の、お願いレベルのもの)が出された。

私が好きな、街はずれに明かりを灯し、寡黙なマスターがいて、客がしずかにスコッチウイスキーなんかを傾けているバーが、キャバレーやナイトクラブに「類する遊興施設」だとは、とうてい思えないのですが(キャバレーやナイトクラブを低く見る趣旨ではありません。キタでもミナミでも、お世話になってるクラブはありまして、私も営業再開を望んでいます)。

4月24日追記。大阪府のホームページに、24条9項による休止を要請する施設として明記されていました。「キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、バー、 ヌードスタジオ、のぞき劇場、ストリップ劇場、 個室ビデオ店、ネットカフェ、漫画喫茶、カラオケボックス、 射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、ライブハウス 等 」とあります。バーとストリップ劇場を同じグループにカテゴライズするとは噴飯ものです。)

ただ、私の通っている小さいバーであれば、面積1000㎡超の要件を満たすところはないので、よほどのことがない限り、厚生労働大臣の指定に基づき個別の要請を受けることもないであろうと思っています。

もっとも、私が前回と今回に分けて長々と書いてきたこうした「理屈」は、私がいちおうは法律の専門家だから、直接条文に当たって知りえたことであって、世の中の大半の善良なバーの店主は「自粛要請が出てるから店を閉めとこう」と判断すると思います。

現に、私の知る大阪のバーの多くが、自主的に営業を見合わせておられます。

現時点では単なる「お願い」レベルの要請でしかなくても、お客さん相手の仕事であり、かつ、世間の風当たりを多少は気にしないといけない以上は、そうならざるをえないでしょう。

だからこそ、国・地方自治体としては、バーに限らず、休業中の事業主に対する手当を早急に進めてもらいたいと思うのです。

(続く)

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