信用取引の恐ろしさについて

最近の株価の乱高下ぶりは、株を一切やってない私でもハラハラさせられますが、さらに気が気ではないくらいなのは、株の、しかも信用取引をやっている方でしょう。

昨日の産経朝刊で、「信用取引で投資家に痛手」という見出しが出ていました。今後、この問題が大きくなりそうな気もするので、少し解説します。

 

元手以上の大きな取引をするのが信用取引です。

産経の記事によると、信用取引では自己資金の約3倍まで投資ができます。

たとえば100万円で株を買おうというとき、普通の取引(現物取引)だと100万円分の株しか買えませんが、信用取引だと300万円分も買えます。残りの200万円はあとで清算します。

これで、もし株価が2倍になったとしますと(実際、去年の政権交代前の株価と、先月の暴落直前の株価とでは、2倍ほどの差がありました)、100万円の自己資金で600万円を手に入れて、まだ払ってない株の代金200万円を払っても、まるまる300万円の得になります。

このように、うまく行けば利益が3倍になるものの、うまく行かないと損も3倍になります。

価格が下落した株を大量に抱えて、かつ株の購入代金も清算できずに、大損をした人が、かなりいるはずです。


怖いのは、信用取引で多額の損を抱えても、破産したところで免責されない(債務をチャラにしてくれない)、という点です。

破産法252条に、免責不許可事由(こういう場合は債務を免除しない、という事情)が列挙されており、その中に、「賭博その他の射幸行為をしたことによって過大な債務を負担した」場合(要約)というのが掲げられています。

射幸行為(しゃこうこうい)とは、賭博、ギャンブルと同じようなもので、大儲けを狙う行為です。サラ金からの借金でパチンコばかりやって破産しても、サラ金の負債はチャラにできないというのと同じ理屈です。

 

実際、過去に私も、信用取引で何千万円もの損をした人の破産申立てをしたけど、免責されなかったという経験があります。

しかもその方は、証券会社から信用取引の元手を借りて、それをその証券会社を通じて信用取引にまわしていたのです。損が出ると途端に、その証券会社が、貸した元手と、株の購入代金の残りを払ってくれ、と言ってくる。

この方に限らず、証券会社からお金を借りて信用取引をして、先月末からの株価暴落で大損をした人はきっと多いと思います。そしておそらく多くの場合、証券会社が顧客を相当にあおって取引をさせていたのであろうと想像しています。

株式の信用取引だけでなく、私の事務所には、商品先物取引とか、通貨スワップとかの投資で大損したという相談が多く、それらの事例では、顧客が欲を出したという側面もあるものの、業者側が相当にあおっています。

特に株の信用取引の場合、証券会社がお金を貸し付けてまで取引させているわけですから、相当に問題があるのではな

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA