大阪ミナミの最近のブログ記事

私(山内)が大阪市西区で働き、かつ居住していますので、大阪で最近行ったバーの紹介となると、西寄りの地域になりがちなのはご了承ください。

御堂筋から西側といえば、近年はアメリカ村など若者が幅を利かせていますが、古くからあるバーの名店も多いです。もっとも、これも時代の波か、閉店してしまった店もいくつか。

西心斎橋の「キーポイント」などもそうで、閉店後、前を通りかかると、ガールズバーに変わっていたことに愕然としたことがあります。たぶんそのガールズバーはすぐ潰れたはずです。今はどうなっているのか存じません。

 

私の事務所(西区南堀江1丁目)から、八幡筋をあるいて心斎橋方面に歩いていくと、御津八幡神社の手前(西側)のビルに、「酒肆上野」という、白地に黒文字のシンプルな看板を掲げている古いバーがあり(「酒肆」はたぶん「しゅし」と読む)、たまに行ってましたが、これも久しぶりに行ってみようとしたらドアが閉まっていました。

しばらく経って前を通りかかったとき、その看板が変わっていて、今度は黒地に白で「Bar Skye」と書かれていました。ああ、店が変わったのか、と気づいたのが昨年(平成23年)の末ころで、最近になってようやく訪ねてみました。

 

「酒肆上野」の年配の男性マスターとは打って変わって、店におられたのは女性でした。オーナーバーテンドレスの太田さんです。

ウイスキー、特にスコッチのシングルモルトが好きな方なら、店名の「Skye」でハハァと思うことでしょうけど、スコットランドにある島で、タリスカーなどの旨いウイスキーの蒸留所があります。とはいえ、決してモルトマニア的な店ではなく、そういえば私もこのお店でスカイ島のお酒を飲んだことはまだありません。

私の事務所の近くに、極めて居心地がよい店ができたことによって、これまで以上に、御堂筋を越えて東へ出る頻度が少なくなるかも知れません。

生まれも育ちも大阪の私は基本的に「いらち」(せっかち)であり、バーに行ったらすぐに杯を空けてしまうし、空けたらすぐ次の一杯がほしいと思ってしまうほうなのですが、たまには、「おもむろに」時を過ごしてみたいときもあります。

BAR川名」は法善寺横町の路地の、目立たない鉄の階段を上っていき、秘密基地みたいな鉄の扉を開けたところにあります。鉄の扉をあけるとまだ階段が数段あって、上り詰めたところで店長の友原氏と目が合います。


カウンターの隅っこに、どっしりとしたターンテーブルが置かれていて、そこでいつもジャズのLPレコードがかけられています。

一杯目にハイボールなどを飲みながらターンテーブルがくるくる回るのを眺めつつ、レコードの針が最後まで進むと、友原氏がターンテーブルの前に現れて、レコード盤をくるっと裏返してまた針を置く、A面B面が終わると次のレコードをジャケットから出して、また針を置く、この「間」と所作が何とも、おもむろな良い感じなのです。

2杯目にマティーニなどのショートカクテルを頼みつつ、こちらもポケットからシガーとマッチを出して、おもむろに火をつけてみたくなります。


内装ひとつとってみても、カッコいいバーなのですが、店側も客側もカッコつけてるわけではない、大阪ミナミ流の「粋」を感じさせる店です。

オーナーの川名氏は、法善寺横町で毎年8月に行なわれる一大イベント「法善寺ジャズストリート」(http://www.houzenji.com/)の発起人でもあられます。

Bar Whiskey」の本店は西道頓堀にありますが、東心斎橋のこちらは、本店の大マスターから店を任された坂尻氏が長らくお店を守っておられます。

レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」(邦題「長いお別れ」)にもそんなくだりがあったと思いますが、私は早い時間のバーの澄んだ空気が好きです。そしてここは午後4時という、バーとしてはかなり早い時間のオープンです。

もちろん普段はそんな早い時間には行けませんが、「この時間にここが開いてて良かった」と心底思ったことがこれまでの人生で二度あります。

一つは私が難波で雇われ弁護士(いわゆるイソ弁)をしていたとき、悩み続けた案件があって、それがある日の裁判で、ついに解決の見通しが立った。一緒に事件にあたっていた後輩弁護士と、裁判所からこの店に直行して、祝杯とばかりに飲み交わしました。

もう一つは今の妻と結婚する前、先方の父親にあいさつに行った日、結婚の承諾を得たあと、妻と二人で乾杯しにいきました。

いずれも、開店直後の、まだ明るい時間でした。

そんな私の人生のヤマ場(大げさか)を見守ってくれていたマスターの坂尻さん、落ち着いた物腰ですが、年齢的には私と同い年です。昭和46年生まれの、今ふうに言えばアラフォーです(ついでに、コールバーの室田氏、中百舌鳥の「ウイスキーキャット」の大谷氏も同い年です)。

同世代のマスターがどのように歳をとっていかれるか、そして自分も歳相応に落ち着いた大人になれているか、ここに来るたび自問しています。

東心斎橋・八幡筋のバー。古いバーが好きな方なら、「南サンボア」のあるビルといえば場所はお分かりかと。

つては堺筋に近い「仏蘭西館」に店がありましたが、心斎橋の中心部へ移ってこられて、もう何年も経ちます。ミナミの新進気鋭のバーテンダーであったマスターの室田氏も、いまやバーテンダー協会・大阪中央支部の中堅どころとなっておられるようです。

南堀江にある私の法律事務所から、御堂筋を隔てて徒歩5分程度の場所にあるので、仕事が早めに切りあがったときにはよく飲みに行きます。ちなみに、うちの事務所の終業時間である午後6時が、この店のオープンの時間でもあります。


バーに何を求めるかは人それぞれなのでしょうけど、私は、一人何かを考えながら、または何も考えずに、静かに酒を傾ける時間が欲しいのです。

マスターの室田氏は大柄なので存在感はあるものの、決して出過ぎないので、仕事を終えて家に帰る前にここで静かに2、3杯やるのが、たいへん心地よいのです。

そして、何か考え事を持って飲みに行ったときも、帰りの扉を開けるときには、いつも頭の中が軽くなった気がしています。

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