大阪でも有数の老舗の名店である、という情報くらいは仕入れて行ったので、最初のうちはずいぶん緊張しながらドアを開けたのですが、するといつも先代のマスター(現マスター天野氏の父)が、これまた有名な大きい声で「いらっしゃいませえぇっ!」「どうぞ、奥へ!」と出迎えてくれました。それで私も「こんな若造でも何だか歓迎してもらえてるみたいだな」と安心した記憶があります。
私が、たいていのバーに臆せず一人で入っていけるようになったのは、ここの先代に、客として大切に扱っていただいたことが大きいと思います。
先代が亡くなった後、店は北新地の南西部、堂島サンボアの隣に移転となり、現マスターが今も「いらっしゃいませ!」「どうぞ!」と客を迎えています。
さて、私は個人的に、ここの「付き出し」が大好きです。多くの酒飲みと同じく、私も飲むときには大した食べ物は要らないほうなので、あまり手の込んだものを出されると手に余るのですが、ここは別格です。
生ハムやローストビーフ、ポテトサラダなどが、小鉢に少量ずつ上品に盛られて出てきます。私はいつもこれを「おかわり」したいと思うのですが、恥ずかしくてまだやったことはありません。冗談抜きで、ここの付き出しだけは、どんぶりに10人前くらい入れて出してもらっても良いと思っています。
