離婚相談1 最初にすべきこと

主に時事的問題を取り扱っているつもりの当ブログですが、読者のご要望もありまして、今後、よくある一般民事的な相談を中心に、各種のテーマをシリーズ化して書かせていただくつもりです。まとまった内容になってきましたらブログを独立させるつもりですが、ひとまずこの場を利用して随時更新していきます。

まず初回のテーマは離婚問題から。


相談者 エリカ(20代、OL・兼業主婦)


山内弁護士(以下山内)「こんにちは。弁護士の山内です。初めてのご相談ですね。早速ですが、どういったことでお悩みでしょうか」

エリカ「はい、夫と離婚したいんです」

山内「ああ、離婚問題ですか。ご主人とは、離婚についての話し合いをされてますか」

エリカ「いえ、まだ何も」

山内「そうですか。相手に離婚意思があるかないかで、今後の対応は変わってきます。ご主人の意向を確認するためにも、まずは話し合いですよ」

エリカ「でも、『離婚したい』って言い出した方が不利になるんじゃないんですか?」

山内「いや、よくそう言われますが、そんなことはありません。重要なのは、離婚に至る原因を作ったのはどちらかということなんです」

エリカ「そうなんですか。じゃあ、これから話し合いをしていくとして、その前に、どんなことをしておけば、有利に話を進められるか、教えていただけますか」

山内「うーん、小手先で何かすれば有利に離婚できる、みたいなテクニックはないんですよ。何か言えるとすれば、裁判になったときに備えて、ご主人が浮気しているなら証拠写真を撮るとか、暴力を振るわれたら診断書を取っておくとかいう程度でしょうか」

エリカ「はあ。なかなか単純には行かないものなんですね」

山内「そういえば、あなたがご主人と離婚したいと思う理由は何なのですか。それによって、今後の準備も変わってくると思いますが」

エリカ「理由といえば、あの…夫がキモいんです。生理的に受け付けないというか…」

山内「は、キモい? えらく抽象的な理由ですなあ。でもね、いったんはあなたがそのキモいご主人を結婚相手に選んだのですからね。もっと具体的な理由でもないと、裁判になったときに通用しませんよ」

エリカ「そうですね…うちの夫、虚言癖があるんですよ。自分をカッコよく見せたがるというか…」

山内「なるほど、具体的にはどんなことがありましたか?」

エリカ「うちの夫、結婚前から、俺の職業は『ハイパー・メディア・デリバリー』だって言ってて、何だかカッコいいなって思ってたんです。でも、結婚してからよく聞いてみたら、やってることは新聞配達のアルバイトなんです」

山内「はあ…新聞もメディアですからね、それを朝夕デリバリーする、いや立派な仕事じゃないですか。でも『ハイパー』ってのは何ですか?」

エリカ「配達のとき、ハーレー・ダビッドソンに乗ってるんです」

山内「ほう、ハーレーのバイクに乗った新聞屋さんですか、たしかにハイパーな感じですな」

エリカ「そんなところでカッコつけるのがもう何だか、って感じで。それにバイクのエンジンの調子が悪いとか言って、すぐ配達の仕事をさぼりますし」

山内「確かに、仕事しないというのも、程度によっては離婚原因になりますね。まあ、いずれにせよ、出発点はご主人と離婚について話し合うことですよ。もしご主人が離婚に反対なら、何を離婚原因にして今後争っていくか、引き続き相談していきましょう」

エリカ「はい、わかりました」

山内「他に何か、ご質問はございますか?」

エリカ「別に…」

山内「では、今日はこの程度ということで、またご主人とモメたらお越しください」


(続く) 離婚相談2