阪神・金本、恐喝容疑で告訴 1

阪神タイガースの金本氏が恐喝で告訴されたとの件について触れます。

週刊誌や新聞によりますと、金本氏は、知人と設立した投資ファンドをめぐって億単位の損失を出し、その知人を脅してカネを返せと迫った、として告訴されたとか。金本氏側は、事実無根と主張しているそうです。

私自身はあまり野球に関心がなく、人から好きな球団を聞かれたときに、話をあわせるために取りあえず「阪神」と答えておく程度なので、この事件、どちらの言っていることが正しいのかは、それほど興味がありません。いずれ何らかの形で明らかにされるでしょう。

興味を持ったのは、新聞報道によると、告訴状はまだ警察に受理されていない、という点です(17日産経朝刊など)。スポーツ新聞のネット記事などを見ますと、「預かり状態」にあるとのことです。


当ブログでも何度か触れましたが、告訴というのは、刑事事件の被害者が、警察・検察に対して被害を申告するとともに、容疑者を刑事裁判にかけて処罰してくださいと願い出ることを言います。

刑事訴訟法上、これを受けた警察は、必要な捜査をした上で、検察に報告(送検)しなければならず、検察は事件を起訴するかしないかを決めなければならない。つまり警察・検察にとって、仕事が増えてしまうわけです。

そのために警察がよくやるのが、告訴状を受理しない、という手なのです。

警察は、ひとまず話は聞きました、という態度を取っておいて、告訴状の記載のここを修正してくれとか、証拠になる資料を持ってきてくれとか、あれこれ言って、告訴状をつき返すのです。

ただ、「参考のために」と言って、警察官が告訴状のコピーを取って、そのコピーを預っておくことも多いです。上記の「預かり状態」とはこういうことです。告訴状そのものを正式に受理したわけではなくて、コピーを参考に預っただけだから、まだ捜査を始めなくてもよい、ということです。

 

特に今回の事件でいえば、捜査開始となれば、金本氏を事情聴取したり、金本氏の自宅の家宅捜索をしたりしないといけない。かなりの大ごとになるでしょう。それで何も出てこなければ、またもや警察・検察の失態ということになってしまう。

ですからよほど容疑が固まった状態でないと、今後も告訴状は受理しないでしょう。逆に言えば、現時点で警察は、金本氏の容疑はそんなに高くない、と見ているのだと思われます。今後、告訴した知人男性が、証拠資料や詳細な供述によって容疑を裏付けていかないと、警察は動かないでしょう。

この件、次回にもう少し続く