「処分保留」とはどういう状態か 2

処分保留のことについて書こうとして、間が空いてしまいましたが、続き。

まずそもそも、起訴・不起訴も決まっておらず、したがって容疑が晴れたわけではない人をなぜ釈放するかというと、一つには、警察の留置場の収容能力の問題です。

もう一つは、警察の処理能力の問題で、逮捕できるのは最大72時間、その後、勾留という段階に切り替わると20日間という時間制限があり、その間に捜査をすべて終わらせるのは結構大変ということです。

警察署には、日々いろんな容疑者が逮捕されてくるので、すべての容疑者を身柄拘束すると、到底、警察官が処理できなくなるのです。だから、悪質性の低い容疑者に対しては、「追って沙汰があるまで待っておけ」ということで、釈放するのです。

 

では、どういう場合に釈放が認められるのか。

私も弁護士ですから刑事弁護を引き受けることがあり、逮捕後の容疑者が釈放されるかどうかの瀬戸際で弁護活動をしたことも再々あります。

結局は、「総合的に判断される」ということで、あれこれ解説しようとすると際限なくなるので、みの二男と前園の例で説明します。

 

みの二男は、最初、ある男性のカードでATMからお金を引き出そうとしたという窃盗未遂の容疑で逮捕され(72時間)、その後、勾留され(20日間)、さらに、その男性のカバンからカードを抜き取ったという窃盗の容疑で再逮捕されました。そのころになって、みの二男は自白しました。

検察は、さらに勾留する予定だったようですが、裁判官がこれを認めませんでした。

たちの悪いこととはいえ、幸いにも実害は生じていないし、自白して反省もしている。日本テレビという大企業の社員だし(その後で解雇されましたが)、ドラ息子とはいえ有名人の息子だから、身元はしっかりしているので、逃亡するおそれも低い。そう判断して裁判官は勾留を認めなかったのでしょう。

みのもんたの好き嫌いは別にして、弁護士としては、妥当な判断だったと思っています。

 

前園は、タクシー運転手への暴行罪の容疑で逮捕されました。

その後は、被害者のタクシー運転手と示談したから被害の回復はいちおうなされている。酔って記憶があいまいとは言いつつ、当初から事実は認めて反省もしている。有名人だし、やはり身元はしっかりしている。

前園はたしか、検察が勾留の手続きを取らずに、検察の判断で釈放されたと思われます。

 

こう見てくると、事実を否認すると勾留が長くなり、やったことを認めて反省すると早く出してもらえる、ということも言えそうです。そういう傾向があるのは事実です。

弁護士の立場からすると、本当に無実の人でも、釈放されたいばかりに「私がやりました」とウソの自白をしてしまうことがあり、これが冤罪を生む原因とも言われていますが、その問題は本稿の主旨とは異なるのでおいておきます。

 

前園も、みの二男も、起訴・不起訴は今後決まります。重大犯罪でもないので、起訴猶予で不起訴になる可能性も多分にあると思います。

不起訴とは「刑事裁判にかけない」というだけの話であり、2人のやった不祥事が消えるわけではありません。不起訴になったからといって、みのもんたがまた偉そうにしだしたら、皆さんテレビにツッコミを入れてください。