言うだけ番長どこへ行く

一部報道機関から「言うだけ番長」と言われた民主党の前原氏について少し触れます。

昔から、政治家にはいろんなあだ名がつくもので、その多くは揶揄や批判を込めたものであることが多いでしょう。それは権力者の宿命みたいなものです。それに対して、政治家本人がどう切り返したか、比べてみると興味深いです。

 

個人的に一番好きなのは、小渕恵三総理のエピソードです。日本国内でも、「平成」の元号を発表した「平成おじさん」程度にしか認識されてなくて、総理大臣になったときは海外の新聞から「冷めたピザ」という、人間と扱ってもらえていない不名誉な呼ばれ方をされました。

しかし、総理になってからは意外な調整能力を発揮します。「冷めたピザ」と言った海外メディアに対しては、笑顔でピザを抱えた姿で「TIME」誌の表紙に登場し、その度量と余裕を感じさせました。

批判に対しては実績をもって応える、そして批判した相手にはそれ以上の度量をもってユーモアで返す。まさに理想的な対応でした。総理在任中、激務のためか脳梗塞で急死したのが惜しまれます。合掌。

 

他には、吉田茂は「ワンマン宰相」、田中角栄は「闇将軍」などと呼ばれました。本人も知っていたのでしょうけど、何の痛痒も感じていなかったのでしょう。何を言い返すこともしませんでした。「その通りだけど、それがどうした」ということだったのでしょう。

歴代の総理大臣になぞらえてはダメですが、私も過去に某掲示板で「ナルシスト弁護士」とか書かれ、今でもたぶん検索すると見れると思うのですが、まあ、ナルシストというのはある程度その通りだし、実害もないので、傍観していました。

 

さて、民主党の前原氏、産経新聞が「言うだけ番長」と書いたのに対して、産経の記者を会見から出入り禁止にしたそうです。ちなみに、「言うだけ番長」という言葉は、故・梶原一騎の少年マンガ「夕やけ番長」をもじったものだそうです(本日の産経朝刊)。

前原氏としては、「言うだけ」と言われない実績を作って、ついでに、夕やけ番長のコスプレでもして雑誌の表紙に載れば、拍手喝采されただろうのに、言論封殺とも言っていいような、権力者として最悪の返しをしてしまいました。

前原氏は「ペンの暴力だ」と言ったそうですが、それは権力者が言うことではありません。

この前原氏の言動が、民主党政権の断末魔のように聞こえてきます。