国会のゴタゴタとハマコーの死についての雑感

今回も雑談みたいな話で恐縮ですが、消費増税に向けた民自公の三党合意がゴタゴタしてきた中、元衆院議員のハマコーこと浜田幸一氏が5日、亡くなりました。

 

ハマコーといえば、国会の廊下でイスを投げながら、「自民党はお前らのためにあるんじゃない、子供たちのためにあるんだ」と叫んでる映像が有名で、死亡を伝えるニュースでも、その映像が繰り返し流れていました。

あのシーン、ハマコーは何をしていたかというと、背景には「自民党40日抗争」と言われるゴタゴタがあります。

学生のころ、筑波大の花井等教授(当時)の日本政治史の講義を興味深く聴講していた私は、戸川猪佐武の「小説吉田学校」や、その劇画版(さいとうたかを画)を熱心に読んでいました。その中でも、最も面白くない場面、政治家が右往左往して何をしているのか私にはよく理解できなかった場面が、この「40日抗争」のくだりでした。

一言でいえば、当時の大平正芳総理と福田赳夫前総理の権力争いです。次の総理大臣候補を自民党の議員総会で決めることになって、主流派が大平総理を指名するのを避けようとして、福田を支持する反主流派が会場前にイスやテーブルでバリケードを作り、総会が開けないようにしたのです。

そこにハマコーが現れてバリケードを破ったあたりの場面が、例の映像です。映像としては面白いですが、その背景は、上記のような、よくわからない権力争いでした。

 

現在、国会がゴタゴタしているのは、民主・自民・公明の三党で、野田総理が進めようとする消費税や社会保障関連の法改正に合意したにも関わらず、今になって自民党が「法案の採決後に衆議院を解散せよ、そうでないと総理大臣に対する不信任決議を行う」と言いだしたためです。

民主党や野田総理の好き嫌いと、消費増税の当否についてはさておきますが、こればかりは自民党がずいぶんおかしなことを言っているように思われます。どうしてこんなことを言いだしたのか、これもよくわからない話です。

衆議院の解散権は内閣にあり、それを最終的に判断する権限は、内閣のトップである総理大臣にあります。総理大臣は、自身が必要と思えば、必要なときに衆議院を解散できるのであって、野党の人から、解散権を行使する場面や時期について指図をされるべき法的根拠はどこにもない。

自民党としても、そんな先例を作ってしまうと、自分たちが与党に戻れたときに、他の党から、法案の成立に協力する代わりにその後で衆議院を解散せよ、などという要求を受けるかも知れないのに、そういうことに考えが及んでいないのだとしたら、すっかり野党ボケしてしまったとしか言えません。

 

亡きハマコーは、思い返せば、大臣経験もなく、ガラも悪いし、バリケードを壊したこと以外に記憶に残る活躍もしていないのですが、今の自民党の体たらくを見たら、つまらない条件闘争をするな、と一喝してくれたのではないかと思います。