弁護士を最大限に活用する2つのルール 3

続き。

弁護士に相談するにあたっては、いま何が起こっていて、それに対してどう対応したいのか、ということをまず伝えたら、次は2つめのルールで、自分であれこれ話をしようと思わず、弁護士が聞いてくることに答えればよい、ということについて。

 

医師が患者の患部を見れば、治療方法についておおよそのことは想像がつくのと同様に、弁護士は、紛争が今どんな状況になっているか、紛争相手からどのような主張や請求を受けているかと言った部分を聞けば、それに対応するための方法はすぐにでも思いつきます。あとは、補足的にいくつか事情を聞けば、充分、方針は固まるのです。

 

弁護士がその法的問題に対処するために必要と考えていることと、相談者が言いたいことというのは、往々にして異なります。弁護士はこちらが聞いてほしい話なのに身を入れて聞いてくれない、と感じる方もおられるかも知れません。

しかし、弁護士は単に、悩んでいる人の話を「聞いてあげる」だけの商売ではありません。依頼を受ければ、その案件に責任をもって、自ら代理人として解決にあたらないといけないのです。互いに限られた時間の中で迅速に解決を図るためには、どうしてもポイントを絞って事情を聞かないといけないし、場合によっては、触れてほしくないようなことまで聞かないといけないとご理解ください。

 

その結果、どうしても言い足りないと感じることは出てくると思いますが、その点は、良心ある弁護士なら、一通りの相談が終わったあとに、必ず「他に何かご不明の点はありますか」と聞いてきます。そのときに、言い足りなかった部分を伝えてもらったら良いです。

重要な話であれば、改めてじっくり聞いてくるし、そうでもないなら、「そこはあまり本件に関係しないでしょう」と答えます。時間に余裕があれば、なぜそこは関係ないのか、きちんと説明してくれるでしょう(逆に言えば、そういうフォローがない弁護士は不親切な弁護士です)。

 

あと、それと関連して、聞かれたことには正直に応えてください。あまりにも当然のことながら、弁護士にウソをつく人はザラにいます。たとえば、不倫したのに「してない」というようなのが典型例です。悪気があるわけではないと思います。言いたくないこと、恥ずかしいことは隠しておいて、自分に都合のいいように言っておけば、あとは弁護士がそのように「言いくるめてくれる」と考える人が多いのでしょう。

しかし弁護士にとって、不倫であれ犯罪であれ、「無実なのに疑われた」ときの弁護と、「やったことはやったけど、傷を浅くしたい」というときの弁護では、方針が相当に違ってきます。そこそこに経験のある弁護士なら、多くの場合、依頼者のウソは見抜けますが、それでも、相談者が頑として「おれはやってない」と(本当はやったのに)言い張れば、弁護士としてはそれに沿った弁護をせざるをえず、つまり間違った方針で弁護することになります。

弁護士にわざわざお金を払って、間違った方針で弁護されるわけですから、依頼者としても何も得はないわけです。

 

あと1回だけ続く予定。