区民まつりの会場で大阪都構想について考えた

私ごとですが、11月6日の日曜日、大阪市西区の区民まつりに息子と行ってきました。

会場の公園では、地元の消防署から消防車が来たり、町内会や地域のサークルが模擬店を出していたりして、2歳の息子もそれなりに楽しんでいました。区民ホールに入ると、ビンゴゲーム大会が行なわれていて、広い会場はビンゴカードを手にした小学生でぎっしり埋まっていました。

冷静に考えると、そう凝った催しが行なわれているわけではないのですが、この手作り感がいかにも地域の祭りという感じで、この日のために、町内会などで熱心に準備が行なわれてきたのだろうなと思いました。

 

7日の産経朝刊によりますと、この区民まつりの会場に、大阪市長の平松氏と、前大阪府知事の橋下氏が、別々の時間に現れたそうです。私はいずれともニアミスだったようで、お会いしませんでした。

新聞によると橋下さんは、会場で区民に囲まれて、「区民まつりはなくしません」と宣言したとのことです。記事の中では「区民まつりは本当にだいじょうぶか」と不安に思う区民の声も紹介されていましたが、橋下氏そして維新の会の「大阪都構想」に多くの方が不安を感じるのは、まさにその点なのでしょう。

 

構想によれば、大阪市と堺市は解体され、両市内にある区は統合されることになる。大阪市西区で言えば、隣接の港区や大正区と一体化され、「湾岸区」とでもなるかも知れない。名前は「踊る大捜査線」みたいでちょっとカッコいいけど、今のような形での西区の区民まつりや、それを核とした地域のコミュニティはなくなるでしょう。

橋下氏が公園で「区民まつりはなくしません」と発言したからといって、正式な公約でも何でもなく、区の統合のあかつきには、きっとなくされてしまうでしょう。

区民まつりの運営費用がどうなっているのかはよく存じませんが、ボランティアの働きと1回100円の模擬店の収益だけで賄えているとは思われず、おそらく、公的なお金から援助が出ていると思います。そうすると「西区や港区や大正区で別々に区民まつりをするのは行政の無駄だ、やりたければ湾岸区で1回だけやれば良い」という判断になると思われます。

現に、大阪市では20年ほど前に東区と南区が合併して中央区ができました。私も2年半ほど中央区(昔の東区にあたる部分)に住んでいたことがありますが、東区の区民まつりというのは聞いたことがなく、あるのは中央区の区民まつりだけでした。

 

私たちの地域の区民まつりが、将来、行政の無駄、住民エゴだと切り捨てられるときが来るのかなと、まつり会場で考えてしまいました。もちろん、区民まつりなど無駄だ、という意見はあっていいと思うのですが、そうは思わない人々がたくさんいるはずなのです。

個々人の利害や欲望を調整して折り合いをつけるのが政治の役割です。地域の規模を大きくして重複するものは切り捨てる、とだけ単純に考えるのは、およそ地方政治のあり方とはかけ離れているように思えます。