「処分保留」とはどういう状態か

サッカーはぜんぜん見ないのでよく知りませんが、前園というサッカー選手が、タクシー代の支払いを求めてきた運転手に殴る蹴るの暴行をした容疑で逮捕されました。

「酒に酔っていて覚えていない」と、ありがちな供述していたようですが、これはお酒と、酒飲みに対する冒涜といってよい発言です。

私だって、さんざん飲んで帰り道にどう帰ってきたか全く覚えていないほどに酔っぱらったことくらい、過去に何度かあります。翌日、店に迷惑かけてなかったかと心配になって電話やメールをしてみると、「いえ、きちんとお勘定もして、ご機嫌で帰られましたよ」と言われたりします。

これは私が品行方正というのではなく、多くの酒飲みの方も似たような経験をお持ちだと思います。酔っているときこそ、その人の普段の行動パターンがそのまま表れるのです。酔って暴力をふるうというのは、もともとその人に暴力的傾向があるものと考えざるを得ません。

 

この前園さん、処分保留で釈放されたことも、皆さん御存じのとおりです。

処分保留で釈放、といえば、みのもんたの息子もそうだし、少し以前なら公園で裸になったSMAPの草彅くんもそうです。

前置きが長くなりましたが、この、処分保留で釈放というのが、どういう状態であり、どういう意味を持つのかを、論じようとしております。

 

刑事事件の捜査の流れをごく簡単にいうと、まず、警察が容疑者を逮捕したり現場検証をしたりして、証拠を集めます。次に、検察官がその証拠を踏まえて、刑事裁判にかけて裁く必要があるかどうかを判断します。

 

検察官の判断には、大きく分けて、①起訴と②不起訴があります。

①証拠が揃っていて、かつ事件も重大なものであれば、起訴して刑事裁判にかかります。

近年だと、押尾学がこのルートをたどって、裁判で有罪判決を受けました。

②不起訴となる場合にもいろいろあって、これも大ざっぱにいうと、a 嫌疑(容疑)が不充分と判断される場合と、b 嫌疑は充分だけど起訴しない場合があります。

 

a 嫌疑不充分の場合、起訴しても無罪つまり検察側の敗北となるだけですから、当然、不起訴となります。

小沢一郎が政治資金規正法違反の容疑で取調べを受け、不起訴になったのがこのケースです(その後、検察審査会の議決により強制起訴され、結局はやはり無罪となりました)。

b 嫌疑充分で証拠もそろっており、裁判にかけたら有罪にできる場合でも、諸般の事情から起訴しない場合があります。これを起訴猶予といいます。初犯だとか、被害者と示談成立したとかいう場合など、検察官の温情で起訴しない場合です。

ずいぶん古い例ですが、志村けんが競馬のノミ行為(競馬法違反)で「8時だョ!全員集合」に出演できない時期がありましたが、最終的にはこの起訴猶予になったのではなかったかと思います。

 

以上で、検察官の最終的な処分の主だったものを一通り説明しました。

では、前園や、みのの息子の「処分保留」とはどういう状態かというと、まさに文字そのままで「検察官がまだ最終的な処分をしないでいる」ということです。だから、起訴か不起訴か、不起訴なら嫌疑不充分か起訴猶予か、というのは決まっていません。それはこれから決まります。

 

次回もう少し続く予定。