インチキ会社名の考察

前回、インチキの会社はたいてい、社名に長く複雑なカタカナを使ったり、アルファベットを使ったりしている、という話を書きました。もちろん、そういう社名でも真っ当に仕事している会社はたくさんある、ということをお断りしつつ、続けます。

前回の記事をかいたのは一昨日ですが、ちょうど昨日、日経朝刊に「先物詐欺、被害20億円か」という見出しが乗りました。

「海外商品先物オプション取引」への投資を名目に客からお金を受け取り、実際は投資に回さず、役員報酬などにあてていたなどの疑いで、会社の専務らが逮捕されたそうです。

そしてこの会社の社名は「株式会社トレイダーズ・エクストリム・カンパニー」といい、いかにも長いカタカナ社名です。それに「カンパニー」は会社のことだから、社名に「会社」が2回出てくることになります。

この社名を日経で見て、どこかで見たことあるような、と思ってパソコンを叩いてみると、うちの事務所で3年ほど前に訴えたことがありました。このときは幸いにも、依頼者が預けたお金の多くが返ってきました。

儲けるだけ儲けて、頃合いを見て会社を潰して逃げるというのが、投資詐欺の会社の典型的やり方です。

ついでにもう一つ、会社の実名を挙げますと、いま東京地裁で破産手続きが進んでいる会社で「PRIMORIS INVESTMENTS株式会社」というのがあります。

うちでも訴訟になっていますが、会社の役員の大半は所在不明です。末端の社員は知りませんが、少なくとも役員らは意図的に詐欺を行なっていたと思っています。

この「PRIMORIS INVESTMENTS」などというのは、客も、それから社員すらも、会社の名前を正式にはどう読むのか、わかっていなかったでしょう。私も知りません。

私が司法書士事務所に勤務していた15年前ころは、確か、会社名をアルファベットで登記することは実務上、認められていませんでした。

それがいつの間にかできるようになり、そこらあたりから、変なカタカナやアルファベットの社名の会社が増えてきたように思っています。これからも増えるでしょう。

自分の子供に、当て字の変わった名前をつける親が、たまに取り沙汰されたりしますが、会社名というのも、もっと注意されて然るべきです。

さらについでに言うと、じゃあNTTJRはどうなんだ、と思う方もいるかも知れませんが、あれは社名ではなくて通称です。
NTTは「日本電信電話株式会社」ですし、JR西日本は「西日本旅客鉄道株式会社」です。まさに名は体を表す、です。

話があちこち行きましたが、聞いてよくわからない名前の会社は、営業の電話などがあっても、取りあえずお付き合いしないほうが良いのではないか、ということを言いたくて、長々と書きました。以上です。