その4 司法試験と司法書士試験の違い
〜 どっちを受けるか迷っている方へ 〜
私はもともとは弁護士ではなく、司法書士としてやっていくつもりでした。なぜだったかというと、やっぱり、司法試験なんて難しくてムリと思っていたから。
結局私は両方受かってしまったのですが(平成6年司法書士試験、平成10年司法試験)、実際受けてみて、司法試験と司法書士試験とどう違うか、感じたことを書いてみたいと思います。
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| 1.試験科目 |
司法試験の内容については、自己紹介のところでも書いたとおりですが、(1)憲法、民法、刑法の択一試験(5月)と、(2)その3つに加え商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の6科目の論文試験(7月)、(3)それらの科目についての口述試験(10月)。
司法書士試験は、(1)7月に筆記試験があり、1日のうちに、民法、刑法、商法の択一試験(午前)と、不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、供託法、司法書士法の択一試験、それから、不動産登記法、商業登記法の書式試験(午後)があります。それに受かると、(2)10月に口述試験があります。
| ● 司法試験 |
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(1)
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憲法、民法、刑法 の択一試験 |
5月
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(2)
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憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法 の6科目の論文試験 |
7月
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(3)
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憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法 の6科目の口述試験 |
10月
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| ● 司法書士試験 |
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(1)
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民法、刑法、商法 の択一試験 |
午前
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7月
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| 不動産登記法、商業登記法、民事訴訟法、供託法、司法書士法 の択一試験 |
午後
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| 不動産登記法、商業登記法 の書式試験 |
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(2)
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口述試験 |
10月
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| 2.どっちが難しい? |
これはやはり、司法試験です。私は司法書士試験の勉強に1年数か月、司法試験の勉強に2年数か月を費やしたのですが、司法書士試験のときは、かなり自信を持って受験できたし、実際、受けてみてイケたと思いました。しかし、司法試験のときは、司法書士試験のときほどの自信はなかったですし、受けてから発表までの間も、けっこう不安でしたね。答練なんかでも、司法書士試験ではたいてい上位でしたけど、司法試験では最後まで伸び悩んでいました。
以下、具体的にどのあたりが違うのか、書いてみたいと思います。 |
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| 3.司法書士試験の大変さ――詳細かつ正確な知識が必要 |
もちろん、司法書士試験もかなり高度な知識、しかも細かい知識を要求されます。民法なら、司法試験受験生でもあまり勉強しない根抵当権の各条文を覚え、商法では少数株主権に関する数字(株式の100分の3以上とか何とか)を覚える必要があります。
書式試験では、不動産登記・商業登記に関する基本的な書式を200ほど正確に(1字1句間違えずに)記憶しておく必要があります。非常に、細かい勉強が必要となります。
もちろん司法試験のほうも、記憶は重要です。合格に必要な基本的知識だけでも、司法書士試験に負けず劣らず膨大です。もっとも、司法試験における記憶には、少し救いがある。例えば司法書士試験の書式試験では、正確性が命で、一字一句間違えても減点です。一方、司法試験の論文対策における記憶は、一字一句正確な言い回しを覚えるべきところもありますが(用語の定義など)、基本的には、書いてることのスジが通っていればいい、ということです。この辺の、記憶の詳細さ、正確さを要求されるという点、司法書士試験受験生にはかなりストレスになるんではないでしょうか。
ただ、司法書士試験の対策としては、とにかく記憶してしまえばそれで対応できるんです。近年の試験では、応用力重視の問題が増えているようですが、やはり、要は記憶です。
(注・私は平成6年以降の司法書士試験の問題についてはきちんと検討したわけではないので、最近の司法書士試験問題に上記のことがあてはまるかどうかは不明ですが。) |
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| 4.司法試験の大変さ――記憶だけではダメ |
一方、司法試験が他の資格試験と違って難しいのは、記憶だけで済まない部分が多いということです。これは、他の法律系資格試験と司法試験を画する最大のポイントであるでしょう。記憶を踏まえての応用が要求される部分がかなり多いのです。
択一試験にしても、正解はどれか、なんて問題は最近少なくて、パズルか?と思ってしまうような論理問題があって、その場で考えて処理しないといけない。文章題の問題文はどんどん長くなって、すばやくポイントを見つける能力も要求される。このあたりに、記憶力とかだけではなくて、センスみたいなものがからんでくるように思います。
論文試験では、自分がいくらがんばって勉強して、いろんな論点について対応できるようにしておいても、司法試験の本番には、自分が知らない問題が必ず出てくる。それにどう対処するかは、もうその場で考えるしかない。
あと、論文試験で難しいのは、何をどこまで書いたらよいのかわからないということです。司法書士試験の書式問題なら、書くべき書式の選択さえ間違わなければ、それでおおよそ答案はできあがりです。司法試験のほうは、書くべき論点がわかったとしても、どれくらい詳しく書けばよいかということは、他にどれだけ書くべきことが多いかという問題との相関関係で決まる。書くべき論点が多い問題なら、細かいところは削って書かないといけない。その判断をとっさにするのはけっこう難しい。
受験生で多いと思われるのは、詳しく書こうとして、結局いらんことを書いて自滅してしまう人。ものすごーくよく勉強していろんなことを知っているのだけど、それだけに、答案を書くに際してあれやこれやと思い悩んでしまうのでしょう。
問題に臨んで、何をどこまで書いたらよいかを判断するという点にも、やはりセンスのようなものがある気がします。司法試験の答案には司法書士試験と違って定型がない。論点における論証を一字一句覚える必要まではないのだけれど、それだけに、何をどこまで書くべきか自分で判断しないといけない。そこに司法書士試験とはまた別種の難しさがあるように思います。
以上、試験の性格の違いでした。
では、弁護士と司法書士で仕事の面ではどんな違いがあるか、これはまた稿を改めてお話しましょう。 |
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